2012-12-18

今年の反省

年末も近づいてきたのでブログ上での自分を振り返ってみようと思う。

ISO 26262 との向き合い方1回目の記事を書き始めたのが、2011年の12月からだからちょうど1年になる。

ブログでは誰かを批判的に書くことはできるだけしないように気をつけているつもりでも、どうしてもこの話題を取り上げると、ISO 26262 で商売をしようとしている者を批判的に書いてしまう。

そういう口調になってしまう理由は、安全な商品を提供しようと努力している日本のエンジニアが自分たちがやってきた良いことを認識できずに、外から言われるがままに欧米で培われたやり方に心酔し、これまでの自分たちのやり方をあっさり方向転換して、結果的にこれまでより商品の価値を低くしてしまう間違いを何とか防ぎたいと思っているからである。(欧米からの思想、方法論もよいところは取り入れ、説明責任を果たすために、本音と建て前をどう使い分けるべきかを考えて欲しい。)

でも、そう言いながら、自分自身がソフトウェアの安全設計に関するコンサルテーションを生業とする可能性は将来あるかもしれない。

万が一そうなったら、自分がさんざん批判的に書いてきた方の立場の側に身を置くことになるかもしれない。そんな状況は自分自身の信条に反するので決してないと思うが、未来の自分の進路を狭めることにつながるので、世渡りの上手な賢者はブログで誰かを批判するとは決してしない。

また、自分は『問題解決能力(Problem Solving Skill):自ら考え行動する力』の記事で紹介した「評論家くん」にだけは絶対なりたくないと思っている。常に問題解決キッズでなければいけない、そうなりたいと思っている。

このブログではできるだけ自分自身をエンジニアの当事者として一人称で書くように努めているつもりだ。だからこそ、時にエンジニアにとってプラスにならないと思うと、批判的に書いてしまうことがある。

そういうとき、自分は評論家くんになっていないかと自問自答することがある。評論家的に言うことは簡単だが、じゃあ、クライアントとなるエンジニアを安全設計エンジニアとして自立させ、価値の高い商品をアウトプットできるように育てられるのかと自分に問うたときに、ドメイン違いではなかなか自信は持てない。

また、ISO 26262 で商売をしたい、売り上げを伸ばしたいと考えている組織、営業、コンサルタント、ツールベンダーがクライアントをだまそうと悪意を持って行動しているわけではない。彼らは彼らで自分たちが正しいと思って行動している訳だし、生きていくため、景気がまだよくない中、売り上げを上げたいと必死に努力しているだけなのだ。彼らのサービスを受ける側の当事者でないのなら、その活動を妨害する権利はないようにも思う。

賢明な当事者の技術者は、いろいろな誘い、セールスに対して選択することができる立場にある。正しい判断ができない者は、後に間違いに気がつくか、競争の中で淘汰されるだけなので、余計なお世話を焼かない方がよいとアドバイスしてくれる人もいる。

ブログへのアクセスはきっちり分析しているので、コンサルタントとおぼしき組織から頻繁にアクセスがあることも分かっている。

ということは、エンジニアに向けて情報発信しているつもりが、エンジニアを言いくるめるネタを彼らに提供しているだけではないかと思うこともある。このブログサイトで学習しているのは、エンジニアではなくコンサルタントでは?と思うこともある。

まあ、何はともあれ、読者となっているエンジニアが関わっている商品のエンドユーザに対する価値向上に役立つ記事を書いているはずだと信じて続けていくしかないのだろう。

これ、英語圏ならもっと読者レスポンスがガンガンあるはずなので何とか英語で情報を発信できるようにしたいとういのが将来の目標である。

このブログ、Google Adsense で広告掲示すると利益が出ますよと Google からアドバイスされるのだが、批判的な記事を書いている対象の企業の広告が出ていたりすると、洒落にならないので、その誘惑だけは断ち切るようにしている。

第二次世界大戦の時代を生き抜いた妹尾河童の自伝的小説「少年H」で、戦時中威張っていた学校の教師が、敗戦、民主主義の社会になったとたんに態度を一変させるくだりを読んで、そういう立場が変わって手のひら返すような人間には絶対になりたくないと思う一方で、そういう自分の弱さを認めたり許容できないかっこつけの考え方が人間の幅を狭くしているのだと考えることもある。

単なるブログではあるが、書く方もいろいろ悩みながら書いているのだ。

今年のブログの反省点はこんなところかな。

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