2008-11-15

広い心で聞く

もっとも重要なリーダーシップ・スキル』の続きで、米国シリコンバレーを中心に経営コンサルタントとして活躍するKimberly Wiefing 氏のインタビュー記事の4/5回である。
Listening Generously

Interviewer: So, can you tell us about the actual skills involved in generous listening? How do we do it?

Wiefling: Yes. Generous is very challenging. Most of the time, we are not trained in how to listen. So, in generous listening, you have to give people some motivation. “Why should I listen? It’s hard work to listen generously. Why bother?” So, when we do the workshops, first we must convince people that it’s a good use of their time. It takes time. It takes energy.
So, the first thing we do is we shoe people an exercise where we ask them to do a simple task, and we ask each person, “What is your answer? What is your answer?” And everyone answers a different way for the same task. And then they realize, “Oh my gosh! I cannot do this simple task. This other person was successful. Why couldn’t I be successful?
We do another little game, another little trick, each time showing them each person makes mistakes, but somebody in the group has the answer. So, now, they’re starting to get very curious. “What do other people see, that I am blind to? What are other people hearing that I can’t hear? What do other people know, that I am missing?”
Now we have them. Now they’re ready to listen, because they’re curious. It’s very interesting when you work with people who are so smart, and you give them a simple task, and show them individually you cannot do this task, but as a group you can succeed. Suddenly they become much more interested in listening to each other.
Then I show them generous listening. Generous listening is for problems that you can’t solve by yourself. It’s for creating new opportunities that you can’t create by yourself.
If someone is listening to me, and says, “Interesting! Kimberly, tell me more,” – four magic words: interesting, tell me more – then I can hear myself think more clearly.
If I am speaking, and no one’s listening, I quickly close down my ideas. That’s why generous listening is so powerful. It allows me to overcome my own self-limiting behavior.

インタビュアー:ジェネラス・リスニングに必要な具体的なスキルについて、お話いただけますか?どうしたら、ジェネラス・リスニングができるでしょうか?

ウィーフリング:ええ、ジェネラス・リスニングは非常に難しいスキルです。ほとんどの場合、私たちは聞き方の訓練を受けていません。ですから、ジェネラス・リスニングを行う場合、(聞き手の)皆さんに何らかの動機付けをしてあげる必要があります。「なぜ私が話しを聞かなきゃいけないんだ? 広い心で話を聞くなんて大変なことじゃないか。なんで、わざわざ?」(と人は言うでしょうからね)。ですから、ワークショップを行う際は、最初に、ジェネラス・リスニングが時間の有効な使い方なのだということを、受講生に納得させなくてはなりません。ジェネラス・リスニングには時間もかかりますし、エネルギーだって費やしますから。
 そこで、私たちが最初にやるには、受講生の皆さんに課題を示し、単純な作業をさせて、一人一人に「あなたの答えは何? あなたの答えは何?」と尋ねることです。同じ作業に対して、みんな違う答え方をします。そこで、受講生は、「ええっ! この単純な作業が私にはできない。あの人はうまくできたのに。なんで私はうまくいかなかったんだろう?」と思います。
 もう一つ、ちょっとしたゲーム、というか、お遊びをします。今回、一人一人は間違いを犯すけれども、グループの誰かは答えをわかっているということを教えるのです。すると、皆さん、すごく興味津々になります。「ほかの人たちに見えていて、自分には見えていないものって何だろう? ほかの人たちには聞こえていて、自分には聞こえないことは何だろう? ほかの人たちにはわかっていて、自分が見落としていることは何だろう?」とね。
 こうして、受講生の皆さんの心をとらえます。こうなると、皆さん興味津々ですから、話を聞く心構えができています。頭の切れる人たちと一緒に取り組むのは、本当に楽しいものですよ。単純な仕事を与えて、一人一人ではできないけれども、グループとしては成功する、ということを示してあげるんです。すると、皆さん、お互いの話を聞くことに急に熱心になります。

 そこで、ジェネラス・リスニングについてお教えするんです。ジェネラス・リスニングは、一人では解決できない問題を解くためのスキルです。自分一人では生み出せないチャンスを生み出すためのスキルなのです。
 誰かが私の話を聞いていて、「面白い! キンバリー、もっと詳しく話してよ」と言ったら-面白い、私に、もっと詳しく、話して、というのは魔法の4ワードなんです-私は、さらにその物事に注意を傾けることができるようになります。
 自分が話していても、誰も聞いていなければ、私は考えるのをさっさと打ち切ってしまうでしょう。そういうわけで、ジェネラス・リスニングというのは非常に効果的なのです。相手にジェネラス・リスニングをしてもらうことで、こちらは、自分を狭めてしまうような振る舞いを克服できるのです。
確かに我々は聞き方の訓練を受けていないかもしれない。そして、聞き方がうまい、話を引き出すことがうまい人の周りには優秀な人が集まっているような気がする。優秀な人が集まっているのではなく、それぞれの人が持っている能力を最大限に引き出すことができるからそう見えるのかもしれない。

自分は何でもいいから自分が持っていないものを相手が持っているときは、ジェネラス・リスニングができていると思う。自分自身がその知識や技術を吸収したいから、素直に「おもしろい、もっと詳しく話して」と言える。

では、実際には自分がすでに知っていること修得していることについて相手がしゃべり出したときはどうかと振り返ってみると、おそらく口には出していなくてもつまらなそうな顔をしていると思う。

ウィーフリング氏が言っている聞き方の訓練が必要というのがこういう事なのだと思う。自分のためではなく、相手の能力を引き出したり、チームの成功のために聞くための技術を使うということがリーダーには求められるのだ。

最近、NHKのクローズアップ現代という番組で、神奈川トヨタが心の悩みを抱える従業員をフォローアップするための部門を作り取り組んでいる様子を流していた。ある販売店の所長が終業後の事務所で若い営業員の話を延々と聞いているシーンがあった。営業員は自分が考える販売店の在り方などを所長に話しており、話が終わったのは23時を過ぎていた。この営業所では所長が部下の話をじっくり聞く取り組みを始めてから販売成績が上がったという。

これはまさに、ジェネラス・リスニングを実践しているということに違いない。
 

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